青い空の診察室から
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- 新型コロナウイルス感染症をひろげないために Vol.2
乗り越えよう、わたしたちの力で
新型コロナウイルスの感染者数が日ごとに増え、いよいよこの病気を身近に感じている方も多いと思います。
でも、日本国内でこのウイルスがモンスターのように増え続けている、と考えるのは、まだ少し早いかもしれません。
この感染症のひろがり方を、今、分かっている情報を参考に図にしました。外出制限などで、不便で不安な生活が続いていますが、「わたしたちにできること」を考えるために、参考にして頂けたら幸いです。
新型コロナウイルスには、接触(ウイルスがついたものを直接触ること)あるいは飛沫(ひまつ、感染者のくしゃみや咳を吸い込むこと)による強い感染力がありそうです。しかし、これまでの報告によると約8割の感染者は他者に移していないそうです。
これは、ほぼ全ての感染者が他者に移してしまうインフルエンザとの大きな違いです。
つまり、一部の感染者だけが感染の条件がそろった時に(3密:①密閉空間 ②人の密集 ③密接場面)、他者へ移していると思われます。
インフルエンザのように、目の前にいる感染者の背景にとても大勢の感染者がいるということではなさそうです。
新型コロナウイルスでは、次の図のように感染者の一部が他の人に移します。そのうち、さらに一部の感染者が他の人に移すのですが、このときに条件がそろってしまうとクラスターが発生し、多くの感染者が出ます。
しかし、たとえクラスターが発生したとしても、感染が判明した人やその周囲にいる人がさらに感染をひろげないように気をつければ、感染の連鎖を断ち切ることができます。断ち切ることができなければ、欧米の国々のような大変な事態になります。
日本中で感染者が増加していることは間違いありません。
でも、まずは自分がかからないこと、かかったら周囲に移さないことで、新型コロナウイルスが急激にひろがることを防ぐことができます。
その間に、薬やワクチンが普及すれば、さらに感染のひろがりを抑え、多くの命を失わずに済みます。
それが無理でも、流行を少しでも遅らせたり、一度に発生する感染者の数を少なく抑えたりすることで、医療側は患者さんを受け入れる体制を整え、感染者全員に対して十分な治療を提供することができます。
わたしたちの地域でそれが実現できるように、皆さんのご協力をお願いしたいのです。
最後に、トレポンテこどもクリニックからのメッセージです。
1.最近になって、赤ちゃんが重症化しやすい可能性があること、10歳代の死亡例など、子どもや若い人にとっても危険な感染症であることが報告されています。子どもは大丈夫だと思わないでください。
2.約20%の人が重症化するという確率は決して低いものではありません。明日にも、大切なおじいちゃん、おばあちゃんが感染して命をおびやかされるかもしれないということを想像して下さい。
3.今、世界中で混乱が起こっています。この混乱が続くと、子供たちが将来、夢を叶えられなかったり、苦しい生活を強いられたりしてしまうかもしれないと考えて見て下さい。
わたしたちなら、この危機を乗り越えられる気がするのです。
2020年4月1日
トレポンテこどもクリニック
医師 小児科専門医 村社 歩美
*事態の緊急性を鑑み、現段階で概ね明らかと考えられる内容を示しました。今後、状況変化に応じて、見解が変わる可能性もありますことをご了承下さい。
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