青い空の診察室から
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- 新型コロナウイルス感染症をひろげないために Vol.3
子どもたちの感染をふせごう!
新型コロナウイルス感染症(かんせんしょう)のひろがりをくい止めるため、緊急事態宣言(きんきゅうじたいせんげん)が出ています。
「外出をひかえましょう」
「集まらないようにしましょう」
そんなよびかけが街のあちらこちらで聞こえます。
お店や遊園地の多くが閉まっています。
しばらく、登校できないし、部活動や習いごともできません。
では、お友だちと遊ぶのはどうなのでしょう?
一緒に遊んだだけでうつってしまうのでしょうか?
感染の仕方が分かれば、どんなことに気をつけたら良いかが見えてきます。
まず、新型コロナがどのようにうつるのか、もう一度確認しましょう。
新型コロナのうつり方
1.飛沫(ひまつ)感染
飛沫とは、感染した人の咳(せき)やくしゃみによって飛び散った唾(つば)や鼻水、痰(たん)などのことです。
感染した人の鼻やのどには大量のウイルスがいます。
感染した人が咳(せき)やくしゃみをすると、近くにいる人は飛沫と一緒にウイルスを吸い込んでしまいます。
口をおおわない状態でいると会話をするだけで、ウイルスを吸いこんでしまいます。
このようにして、ウイルスが人から人へうつることを飛沫感染と言います。
新型コロナウイルスは飛沫感染を起こす力がとても強いと考えられています。
また、飛沫と一緒に飛び出たあと、空間をただよう時間が他のウイルスより長いのではないかと言われています。
ですから、室内で集まるとうつりやすいと言われているのです。
2.接触(せっしょく)感染
感染した人の手には、口や鼻などをさわった時にウイルスがくっつきます。
この手で何かにさわるとウイルスが触ったものにくっつきます。
他の人が、ウイルスがくっついた物にさわると、その手にウイルスがくっつきます。
その手で口や鼻、目にさわってしまうと、ウイルスが体の中に入りこみ、あらたな感染を起こします。
新型コロナウイルスは、物の表面(とくに、スマホの画面やてすりなどスベスベした面)で生き残る力がとても強いのではないか、と言われています。
さわった人が立ち去った後もウイルスが生き残っているかもしれません。
外出先では、だれがさわったか分からない物は危険(きけん)だと言えるのです。
ですから、顔をさわったり、食べたりする前に手洗いをしましょうと、さかんに呼びかけられているのです。
それでは、ふだんの生活でどのように気をつけたら良いかを考えてみます。
感染をふせぐためには?
1.飛沫を吸いこまないようにする
お互いにマスクをしていればうつる可能性は低くなります。
マスクをしていないときははなれて過ごします。(2メートル位はなれると危険性は低いと考えられます。)
2.飛沫が空間中ですみやかににひろがるようにする
屋外なら、飛沫はどんどんひろがり、風に乗ってなくなるので、周囲の人が吸い込む可能性が低くなります。
ですから、人と一緒に過ごすときは外にいることをおすすめします。
外にいることがむずかしいときは、部屋をよく換気します。
換気のよくない室内で、マスクをせずに一緒に過ごしてしまうとうつる可能性が高くなると考えられています。
3.ウイルスがついている物をさわらない
外出先でさわる全ての物にウイルスがくっついているかもしれない、と考えなければなりません。
ですから、なるべく何かにふれないように気をつけながら過ごした方が安心です。
4.ウイルスがついた可能性がある時は手洗い・消毒(しょうどく)
外出先で、何かにさわった後に顔をさわったり、食べたりする前には、必ず手洗い、または手ゆびの消毒をしましょう。
さて、子どもたちはこれらをうまく守れるでしょうか?
子どもたちは、ウイルスがうつりそうな状況かどうか、その場その場で判断することが苦手です。
遊びにむちゅうになって、マスクを外してしまったり、お互いにふれあったり、手洗いをせずに目をさわったり、食べたりしてしまうかもしれません。
どのような点に注意したら、少しでも安全に遊べるでしょうか?
その1)かぜの症状があるときは外出しない
感染した人が外で飛沫を飛ばしたり、何かにさわったりしなければ、あらたな感染はおこりません。
だから、のどの痛みや鼻水、咳、発熱など、少しでも症状があるときは、外出しないようにお願いします。
ふだんと違って、元気がなかったり、食欲がなかったりするときも、念のためお家で過ごして下さい。
その2)家族に体調が悪い人がいる時も外出しない
今の日本の状況では、子どもたちが新型コロナにかかる原因はほとんど家族内感染です。
つまり、通勤など行動範囲の広い大人が先に感染し、子どもたちにうつしています。
ですから、家族に体調が悪い人がいるときは、その人が治るまで、外出しないようにお願いします。
その3) 遊ぶときはマスクをして、換気をして
お互いにマスクをしていれば、うつる可能性は低くなります。
ウイルスが室内にただよわないよう、換気をしながら過ごすことで、より感染の危険性は低くなります。
その4) 遊具はなるべく一緒に使わない
ゲーム機を一緒につかったり、ボールをやり取りしたりする遊びは、ウイルスをうつしあう可能性があります。
また、公園のてつぼうやブランコなどの遊具には、ウイルスがくっついている可能性があります。
なるべく、同じ物をみなでつかって遊ばない方が良いと思います。
でも、もし、そのように遊んでしまったら、後でかならず手を洗いましょう。
その5) マスクができない幼い子どもたちは?
実は、幼い子どもたちが一番感染をひろげてしまいやすいと考えられます。
なぜなら、幼い子どもたちは
「免疫力が弱く、ウイルスが増えやすい」
「マスクをできない」
「口や鼻に手を入れてしまう」
「いろんな物にさわってしまう」
からです。
ですから、新型コロナがおさまるまで、幼い子ども同士が一緒に遊ぶのは安全とはいえません。
なるべく、ご家族とだけ、過ごすようことをおすすめします。
その6) それでもたまにはお友だちと遊ばせたい
心と体が成長するには、お友だちと一緒に遊ぶことも大切です。その時には、次のことに気をつけて下さい。
・かぜの症状があるときは参加しない
・家族の中に体調が悪い人がいるときも参加しない
・外で遊ぶ遊ぶ前と後にはかならず手を洗う
・何かにさわったり、お互いにふれ合ったりした後は、手ゆびの消毒を
とても手がかかります。
けれど、命を守るために少しの間、がんばってみませんか?
ぜひ、大人の皆さまは、子どもたちが新型コロナをうつし合わない環境を整え、安心して遊べるように配慮して下さるようお願いします。
最後に、再び、トレポンテこどもクリニックからのメッセージです。
・新型コロナにかかると、赤ちゃんが重症化しやすい可能性があること、子どもの死亡例など、子どもにとっても危険な感染症であることが報告されています。子どもは大丈夫だと思わないでください。
・約20%の人が重症化するという確率は決して低いものではありません。明日にも、大切なご家族が感染して命をおびやかされるかもしれないということを想像して下さい。
・今、世界中で混乱が起こっています。この混乱が続くと、子供たちが将来、夢を叶えられなかったり、苦しい生活を強いられたりしてしまうかもしれないと考えて見て下さい。
わたしたちなら、この危機を乗り越えられる気がするのです。
2020年4月28日
トレポンテこどもクリニック
医師 小児科専門医 村社 歩美
*事態の緊急性を鑑み、現段階で概ね明らかと考えられる内容を示しました。今後、状況変化に応じて、見解が変わる可能性もありますことをご了承下さい。
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